<大腸がんについて>
大腸がんとは、大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称です。日本人のがんによる死亡率で特に増えているのは大腸がんであり、早期発見できれば治癒する可能性が高いがんとなります。
食生活の欧米化した日本では増加傾向にあり、特に直腸がんが急速に増加しています。動物性の脂肪を摂取すると、消化を助けるために胆汁酸が多く分泌されます。脂肪の消化の際に発生する物質のなかに発がん物質があり、大腸の粘膜にがんが発生すると考えられています。
大腸がんの罹患率は50歳代から年齢が上がるにつれ高くなります。男性の方が女性より罹患率、死亡率ともに2倍ほど高いのが特徴です。しかし、発生部位別でみると男性では肺がん胃がんに次ぐ3位なのに対し、女性では1位となっており、罹患率においても女性では毎年増加傾向にあります。
【大腸がんの危険因子】
・肥満・・・肥満があると大腸がんのリスクが高くなります。日本では、BMIが25以上の場合に肥満と判定さ れます。
・加齢・・・大腸がんと診断された人の多くは60歳代以上で、高齢になるほどリスクが高くなります。加齢は避けることのできない要因ですが、年齢とともにリスクが高くなることを意識して、生活習慣の改善や定期的な検診や検査を受けることが大切です。
・過度の飲酒・・・男女ともに一日に純アルコール量23g以上の飲酒をする人では、お酒を全く飲まない人に比べて、大腸がんが発生するリスクが高くなります。
・喫煙・・・たばこの煙には発がん性物質が含まれており、大腸がんを発生しやすくすると考えられています。
・運動不足・・・運動不足になると腸の動きが低下し、腸内に便が長くとどまって、便に含まれる発がん性物質に腸がさらされる時間が長くなると考えられています。
【大腸がんの症状】
大腸がんは早期のものは無症状のものが多く、進行すると症状が出現することがあります。症状は血便、排便習慣の変化(便秘、下痢)便が細くなる(狭小化)、残便感、貧血などで腫瘍が大きくなり腸管の内腔が狭くなると腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐などの症状が出現します。また、腫瘍が他の臓器へ転移、浸潤した場合は他臓器の画像検査や他臓器症状(血尿、性器出血など)が発見の契機となることもあります。
【大腸がんの検査】
自覚症状のない大腸がんを見つけるため、本邦では40歳以上を対象に便潜血検査による対策型検診が市区町村単位で実施されています。便潜血検査は腫瘍からの微小な出血を検出する検査であり、2日間に分けて便の採取を行います。検査結果が「要精検」となった方は大腸内視鏡で精査を行う必要があります。また、1回の検診ではがんが見つからないこともありますので、毎年検診を受けることをお勧めします。
★5月から健康診断が開始となります。健康診断を受診し病気の早期発見に繋げま